ニュースレター Vol.121
CEOメッセージ
代表からのご挨拶叱る時には、2倍のフォローが必要
今回もロルフ・ドベリの『Think Clearly』の続編である『Think right』を、ぜひご紹介させていただきたいと思います。
『Think right』には、なぜ、「悪いこと」は「いいこと」より目につきやすいのか? ということについて、わかりやすく解説されています。
この本によると、人間はネガティブなことに、より強く反応する習性があるそうです。たとえば1万円をもらうよりも、1万円を失ったときのほうが、およそ2倍もの苦痛を感じると書かれています。(本来ならば、同じ1万円なので、影響力も同等であるべきなのですが…)
つまり、「損した」という喪失感は、「得した」という満足感では埋め合わせられず、“認知のゆがみ”が起こった状態であるといえます。
このことはノーベル経済学賞受賞の心理学者ダニエル・カーネマンの「プロスペクト理論」の実験でも証明されており、『Think right』では【マイナスの過大評価のワナ】と表現されています。
ではなぜ私たちは、マイナスを過大評価してしまうのでしょう。それは太古より人間は少しのミスが命取りになったことから、危機察知能力がないと到底生き延びることができなかったせいだと考えられます。
そしてこの「マイナスを過大評価してしまう」ことは、対人関係についても大いに関係があり、気をつけるべきだと思っています。
たとえば、私が社員を注意したり叱ったりすると、こちらの想像以上に相手が落ち込んだり、やる気をなくしてしまうことがあります。これは「プロスペクト理論」でいくと、与えたダメージに対して2倍のフォローが必要、ということになります。
かのベストセラー『嫌われる勇気』ではありませんが、私は社員からは嫌われてもしかたがないと覚悟していて、ダメな時はダメだとはっきり言いますし、本当に良いと思った時にしかほめません。個々の成長のためにも、なるべく公平にジャッジし、常にニュートラルでありたいと思っています。
しかしそれでは、人心は掌握できない、人は動かせないと感じることがあり、常々反省しています。
先生方におかれましても、同じことがいえるのではないでしょうか。患者さんやスタッフのためを思って注意しているのに、こちらが思っている以上に相手が傷ついて、いつのまにか離れていってしまう…なんてことがあるかもしれません。
おだてる必要はないと思いますが、注意する場合は、相手の言い分まで聞いたうえで、良い方法がないかを一緒に考え、「2倍フォローするつもり」で真摯に向き合うことが重要であると、自分自身に問うている毎日です。
代表取締役