ニュースレター Vol.125

世界の医療事情

世界の医療事情Vol.16~ワクチン4回目の接種状況~

新型コロナウイルスワクチンの4回目接種は、「オミクロンへの感染予防効果はほ とんど期待できない」という結果が出ています。しかし重症化の予防効果は短期間では低下しないことから、日本国内でも重症化リスクの高い人を対象に、4回目接種が2022年5月25日から開始されています。アメリカ・イギリス・イスラエル・韓国ではひと足早く、高齢者と重症化リスクの高い人を対象に4回目接種が行われ、カンボジアでは早くも5回目接種が6月から行われています。「社会機能を維持しながら、重症化リスクの高い人を守っていく」が世界的な流れといえそうです。

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アメリカの疾病対策センター(CDC)は、4月の時点で「50歳未満 の人は4回目のワクチン接種をすぐ受けるよりも、次世代のブー スター接種を待ったほうがよい」との見解を明らかにしており、 接種対象を「追加接種から4カ月以上経過した50歳以上・免疫不 全者・ヤンセン社ワクチンの接種者」としていました。しかし5月 に入り、新規感染者数が再び増加したため、50歳未満も4回目接 種の対象にすべきか検討中です。その一方で、国民はコロナ収束 を信じたい想いが強く、マスクをはずして街は解放ムードにあ ふれています。6月12日には入国時の「新型コロナ陰性証明」も撤廃され、ハワイなども今後は観光客が戻る見通しです。

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イギリスでは、3月21日から「追加接種から6ヶ月以上経過した 75歳以上、介護施設に居住する高齢者、12歳以上の免疫不全者 等」を対象に4回目接種がスタート。秋には50歳以上も追加接種の対象として検討されています。4月4日には感染症状の定義「発 熱・長く続く咳・嗅覚や味覚の喪失」に、「息切れ・倦怠感・身体の痛 み・頭痛・のどの痛み・鼻水・鼻づまり・食欲不振・下痢・吐き気」が新たに加わりました。また今年に入り、イギリス国内で小児の急性肝炎が5月16日までに197件報告されており、現時点ではアデノウイルス感染症が疑わしいとされていますが、ロックダウンによる免疫力の低下等も指摘されており、関連性が調査されています。

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世界に先駆けてワクチン接種を進め、臨床データを豊富に揃え ているイスラエル。2021年12月末から60歳以上の高齢者や高 リスク者、医療従事者を対象に、4回目のワクチン接種が開始されています。保健省が60歳以上の約125万人を調べたところ、4回目の接種者(36∼42日後)と3回接種者を比ベた場合、 オミクロン株の重症化を防ぐ効果は4回目接種者のほうが4.3 倍高いと推計されました。一方で、4回接種ではオミクロンの感 染予防効果が低いことが判明しており、6月8日現在では5回目 接種は勧められていません。高リスク者を守ることと、規制を緩和 して経済を守ることの両立を模索している様子がうかがえます。

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韓国は大量のPCR検査や感染者の追跡・隔離を徹底し、「K防疫」と呼ば れる厳しい防疫措置をとってきましたが、2021年12月にはオミクロン株によるクラスターが発生。1月後半からは感染が拡大し、一時期は新規 感染者数が60万人を超え、世界最悪水準の感染状況でしたが、4月下旬には映画館での飲食も可能になるなど規制緩和が進められています。4回目接種は、3回目接種から4か月以上たった重症化リスクが高い人や医療従事者を対象に、4月中旬から実施。メッセンジャーアプリ「カカオ トーク」や「ネイバー」から残余ワクチンを予約するか、医療機関で予備リ ストに加えてもらうことで、当日の接種も可能です。6月1日より外国人観光客の受け入れも再開し、ウィズコロナへと転換を図りつつあります。