ニュースレター Vol.124

世界の医療事情

世界の医療事情Vol.15~オミクロン株の感染状況~

新型コロナウイルスの「オミクロン株」は、他の変異ウイルスに比べると感染力が 高く、感染スピードが速いのが大きな特徴です。3月末現在、国内では「BA.1」と 呼ばれる亜種が主流ですが、4月にはより感染力が高い「BA.2」への置き換わりが 進むと予想されています。「第6波」のピークは越えましたが、3回目のワクチン接 種が遅れたことと、年度末で人との接触機会が増えることから、感染者数が再び増加に転じる可能性もあります。欧米諸国は規制緩和をはじめていますが、感染 再拡大の傾向がみられるため、日本では慎重に進める必要がありそうです。

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新規感染者数が減少傾向にあることから、「夏までには集団免疫 の状態に近づく」との見方を示し、規制緩和を進めているアメリカ。3月2日には、薬局などで検査や治療薬の処方を無料で受けられる仕組みを導入し、変異ウイルスに対応したワクチンの 100日以内の開発・提供など、経済や社会の活動を止めずに日常を取り戻していく方針を明らかにしました。ただし3月17日に は、イギリスのオミクロン株の亜種「BA.2」による感染拡大を受 け、「いつも2、3週間遅れでイギリスと同じことが起きる」と警戒を強化。3月15日にはファイザー社が65歳以上の高齢者に対する4回目のワクチン接種の緊急使用をFDAに申請しました。

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ワクチンの追加接種の進展と政治的な事情から、いちはやく 「コロナとの共生」をかかげたイギリス。2月にはマスクの着 用義務や感染後の自主隔離がなくなり、3月18日には世界に 先駆けて入国規制も撤廃されました。しかし3月に入ってか らオミクロン株の亜種「BA.2」による感染が拡大しており、一日の新規感染者が10万人を上回る日が増加。3月21日には、重症化するリスクが高い75歳以上の高齢者などを対象に、4回目となるワクチンの追加接種がスタートしました。秋には50歳以上にも追加接種が検討されており、今後はインフルエ ンザワクチンのように予防接種を継続していく方向です。

中国

大規模PCR検査や徹底した隔離措置など、「ゼロコロナ政策」 と呼ばれる厳格な防疫対策を貫いてきた中国。国民の大半は中国製ワクチンの接種を終えていますが、3月に入りオミクロン株への感染が各地で急増。吉林省では市民全員にPCR検査を実施した結果、新規感染者数が連日1000人を超え、臨時の隔離病棟の建設が急ピッチで進められています。深センでは、3月14日から20日まで事実上のロックダウン体制に置かれていました。中国は国土が広く、地域によって医療水準に差があり、高齢者人口が多いことや中国製ワクチンの有効性への懸念もあり、「ゼロコロナ政策」のほころびが見え始めています。

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中国式の厳格な「ゼロコロナ政策」を掲げ、コロナ対策の優等生 だった香港。しかしオミクロン株の感染拡大の初期対応に失敗 し、2月前半より感染者数が急増。全人口の7人に1人が感染したこととなり、死亡率も世界最悪となっています。さらに隔離病床不足や医療従事者の感染が急増するなど、医療体制は崩壊寸前になりました。それとともに、外資系企業や人材の流出が 目立つことから、国際金融都市として水際対策の見直しを迫ら れ、アメリカやイギリスからの旅客機乗り入れを4月1日から解除すると発表。全住民対象のPCR検査も中止となり、「ゼロコ ロナ」から「ウィズコロナ」への転換がはかられています。